三十五日(五七日)の法要に、親族や故人と親しかった友人として招かれた場合、どのような準備をして、参列すれば良いのでしょうか。特に、気になるのが「服装」と「香典」に関するマナーです。葬儀とは少し異なる、法要ならではの注意点を、しっかりと押さえておきましょう。まず、服装についてです。三十五日法要は、忌明け前に行われる、比較的、格式の高い法要です。そのため、基本的には、お通夜や葬儀・告別式に参列した時と同じ「準喪服(じゅんもふく)」を着用するのが、最も丁寧で、間違いのない対応です。男性であれば、ブラックスーツに白シャツ、黒ネクタイ。女性であれば、黒のワンピースやアンサンブルといった、ブラックフォーマルです。ただし、ご遺族から、案内状などで「平服でお越しください」という、明確な指定があった場合は、それに従います。この場合の「平服」とは、普段着のことではなく、「略喪服(りゃくもふく)」を指しますので、注意が必要です。男性なら、ダークスーツ(濃紺やチャコールグレー)に、白シャツと黒ネクタイ。女性であれば、黒や紺、グレーといった、地味で控えめな色合いのワンピースやスーツを選びます。決して、カジュアルな服装で出かけてはいけません。次に、香典についてです。三十五日法要に招かれた場合は、香典を持参するのがマナーです。不祝儀袋の表書きは、「御仏前(ごぶつぜん)」または「御佛前」とします。葬儀の際は「御霊前」でしたが、三十五日ともなれば、故人はすでに仏様の世界への道を歩み始めている、と考えるため、「御仏前」を用いるのが一般的です。もし迷った場合は、宗教宗派を問わず使える「御香料(ごこうりょう)」でも良いでしょう。名前は、薄墨ではなく、通常の濃い墨の筆ペンで書きます。香典として包む金額の相場は、故人との関係性や、法要後の会食の有無によって異なりますが、5,000円から3万円程度が目安となります。友人・知人であれば5,000円〜1万円、親族であれば1万円〜3万円程度を包むのが一般的です。会食に出席する場合は、その食事代に相当する金額(5,000円〜1万円程度)を、上乗せしてお包みするのが、心遣いです。これらのマナーを守り、故人を敬う気持ちを形にすることが、ご遺族の心を慰める、温かい弔意の表明となるのです。
三十五日法要の香典と服装のマナー