突然の訃報は心を乱し、悲しみの中で様々な準備に追われます。その中で、不祝儀袋に関するマナーをうっかり間違えてしまうことも少なくありません。ここでは、不祝儀袋に関するよくある失敗談と、その回避策を紹介します。まず多いのが、表書きを「薄墨」で書くのを忘れて、濃い通常の墨で書いてしまう失敗です。これは悲しみや慌てた様子を表す薄墨がマナーなのに、つい手元にある筆記用具で書いてしまうのが原因です。回避策としては、不祝儀袋とセットで薄墨用の筆ペンを準備しておき、いざという時にすぐ使えるようにしておくことです。次に、「お札を新札のまま入れてしまう」という失敗です。新札は不幸を予期して準備していたような印象を与えるため、弔事では避けるのがマナーとされています。回避策は、手元にある使用感のあるお札を選ぶか、新札しかない場合は一度軽く折り目をつけてから包むことです。破れたり汚れたりしたお札は失礼にあたるため避けましょう。また、「中袋への記載漏れ」もよくある失敗です。中袋には金額、住所、氏名を正確に記載しないと、ご遺族が香典帳の作成や香典返しをする際に困ってしまいます。回避策は、中袋があるタイプの不祝儀袋を選んだら、必ず全ての項目を漏れなく記入することです。金額は旧字体で書くのがより丁寧です。他にも、「水引の色や結び方を間違える」、特に慶事用の赤白や蝶結びの袋を使ってしまう失敗も起こりえます。弔事では黒白や双銀の水引で、結び切りやあわじ結びのものが適切です。回避策は、購入時に「弔事用」であることをしっかり確認することです。さらに、「袱紗を使わずにバッグなどにそのまま入れて持参する」というのも避けたい失敗です。袱紗は不祝儀袋を汚れやシワから守り、丁重に扱う心を示すためのものです。紫など慶弔両用の袱紗を一枚用意しておくと便利です。これらの失敗は、多くの場合、予期せぬ事態への動揺や知識不足から生じます。基本的なマナーを事前に知っておき、不祝儀袋や薄墨ペン、袱紗といった必要なものを一つ用意しておくだけでも、いざという時の心のゆとりが全く違ってきます。マナーを知り、備えておくことで、余計な心配なく故人を偲び、ご遺族へ心からの弔意を伝えることに集中できるでしょう。
不祝儀袋に関するよくある失敗談と回避策