五七日(三十五日)法要は、かつては親族を招き、比較的規模の大きな法要として執り行われることもありましたが、現代では、ご遺族のみ、あるいはごく近しい親族だけで、自宅で静かに営まれるのが一般的となっています。しかし、たとえ小規模であっても、故人の魂の重要な節目を供養するための、心のこもった準備が必要です。その流れと準備について、具体的に見ていきましょう。まず、準備の第一歩は「日程の決定」です。三十五日目が平日にあたる場合は、その直前の土日などに、日程をずらして行うのが通例です。日程が決まったら、次に行うのが「僧侶への依頼」です。菩提寺の住職に連絡を取り、希望の日時を伝え、法要の予約をします。この時、自宅に来ていただくのか、あるいはお寺の本堂で法要を行うのかも、併せて相談しましょう。もし、親族を招く場合は、早めに案内状を送付し、出欠の確認を取ります。法要後の会食(お斎)を設ける場合は、その人数を確定させ、仕出し弁当や、お店の予約なども済ませておきます。法要当日の流れは、概ね次のようになります。まず、自宅に設えられた「後飾り祭壇(中陰壇)」の前、あるいはお寺の本堂に、参列者が着席します。定刻になると、僧侶が入場し、読経が始まります。厳かな読経の中、僧侶の案内に従って、施主(喪主)、そして参列者の順で、焼香を行います。読経が終わると、僧侶による「法話」があるのが一般的です。閻魔大王の審判の日である五七日にちなんで、生前の行いの大切さや、仏様の慈悲についてのお話をいただく、貴重な時間です。法話が終わると、僧侶は退場し、法要の儀式は終了となります。その後、会食の席を設けている場合は、そちらへ移動し、故人の思い出を語り合いながら、参列者への感謝の気持ちを表します。たとえ家族だけの小さな法要であっても、故人のために心を込めて準備をし、手を合わせる時間を持つこと。その行為そのものが、何よりの追善供養となるのです。