葬儀の挨拶状を送る際、伝統的で最も丁寧な形式は、白無地の便箋に縦書きで文章を綴り、白無地の二重封筒に入れて送る「封書」です。しかし現代ではより簡潔で手軽な方法として、「はがき(官製はがきや私製はがき)」を用いるケースも増えています。このはがきと封書はどのように使い分けるのが適切なのでしょうか。その選択は相手との関係性や挨拶状を送る目的によって判断するのが良いでしょう。まず「封書」を用いるべきなのは、目上の方や会社の取引先、そして特に丁重な感謝を伝えたい恩師のような方々です。封書はその形式自体が相手への深い敬意と改まった気持ちを示してくれます。また香典返しのような品物に挨拶状を添える場合は、はがきではなく奉書紙やカード式の挨拶状を品物に同梱するのが一般的であり、これも封書と同様の丁寧な形式と言えます。封筒の宛名は黒のペンで楷書で丁寧に書きます。封をする際のり付けはしますが、「〆」や「封」といった封字は弔事の場合は書かなくても良いとされています。一方「はがき」はより簡潔に、そして事務的な連絡の意味合いも込めて感謝を伝えたい場合に適しています。例えば故人が非常に多くの交友関係を持っていた場合や、町内会の方々など多数の方に一律の感謝を伝えたい場合などです。また親しい友人や会社の同僚といった気心の知れた間柄の相手であれば、はがきでのお礼でも十分に気持ちは伝わるでしょう。はがきで送る場合は他の郵便物と一緒に文面が他人にも見られてしまう可能性があるという、プライバシー上のデメリットも少しだけ考慮しておく必要があります。はがきを用いる際は市販の弔事用の落ち着いたデザイン(蓮の花や淡い紫色の桔梗など)が印刷された私製はがきを選ぶと、より丁寧な印象になります。どちらの形式を選ぶにせよ最も大切なのは、その中に綴られる感謝の言葉そのものです。形式と内容その両方が伴ってこそ、あなたの誠実な心は相手に深くそして確かに届くのです。
挨拶状はがきと封書、その使い分け