学生時代からの親友の葬儀に参列することになった時、私は20代後半で、手元には成人式のお祝いで貰ったホワイトパールのセットしかありませんでした。しかし、その親友は生前、とてもシックで大人びたファッションを好む女性だったため、彼女を見送る時は、いつもの私よりも少しだけ背伸びをした、端正な姿でありたいと考えました。そこで、以前から気になっていたグレーに近いブラックパールのネックレスを新調することに決めたのです。宝石店で試着した時、その静かな色合いが私の不安な心にスッと寄り添ってくれるような気がしました。葬儀当日、会場には黒い服を纏った人々が集まり、沈痛な空気が流れていました。自分の首元にあるブラックパールの適度な重みを感じるたびに、私は「しっかりとお別れをしなければ」と自分を律することができました。ホワイトパールを身に着けていた他の参列者の中で、私のブラックパールが浮いていないか少し心配でしたが、実際には周囲の景色に溶け込み、出過ぎない品格を保っているのが分かりました。焼香の際、祭壇の遺影に向かって深く頭を下げた時、ネックレスの珠同士が触れ合って小さな音がしました。その音は、まるで親友が私の耳元で「似合っているよ、ありがとう」と囁いてくれたように感じられました。ブラックパールは、悲しみを消し去るものではありませんが、その悲しみを形にして、自分を支える柱にしてくれるような力があります。葬儀が終わった後、私は丁寧にパールを拭き、ケースに収めました。これからの人生で、何度もこのパールを取り出す時が来るでしょう。そのたびに、私はこの最初の葬儀で感じた、言葉にならないほどの寂しさと、それを包み込んでくれたパールの輝きを思い出すはずです。ブラックパールを選んだことは、私にとって「大人としての自覚」を持つための大切な儀式でもありました。背伸びをして手に入れた一本のネックレスが、今では私の人生に欠かせない、悲しみと再生のシンボルになっています。
初めての葬儀参列、ブラックパールを選んだ私の体験記