葬儀を近親者のみで行うと決めたとき、究極のプライベートなお別れとして「自宅葬」を検討する方が増えています。かつては一般的だった自宅葬ですが、現在は斎場利用が主流です。しかし、近親者のみという少人数であれば、自宅という最も落ち着ける空間での葬儀は、他では得られない深い感動を生み出します。自宅葬の最大の魅力は、時間の制約が一切ないことです。斎場では「○時までに退館してください」というルールがありますが、自宅であれば、故人と一晩中寄り添い、お酒を酌み交わしたり、愛用の布団で一緒に眠ったりすることができます。また、故人にとっても、住み慣れた我が家から旅立てることは、この上ない幸せかもしれません。10人程度の近親者であれば、特別な祭壇を設けなくても、いつものリビングに花を飾り、遺影を置くだけで立派な式場になります。一方で、現実的な準備も必要です。まず、遺体を安置するスペースと、参列者が集まるスペースの確保です。6畳から8畳程度の部屋があれば十分ですが、家具の移動が必要になることもあります。次に、遺体の管理です。ドライアイスの交換や、季節によってはエアコンの温度管理など、葬儀社のサポートが不可欠です。また、出棺の際に棺を外へ運び出す動線(玄関の広さや曲がり角など)も事前に確認しておかなければなりません。さらに、近所への配慮も忘れてはいけません。近親者のみであっても、霊柩車が来たり、黒い服の人が集まれば葬儀だと分かります。後でトラブルにならないよう、両隣や向かいのお宅には「家族だけで静かに送りますので、お気遣いなく」と一言挨拶しておくのがマナーです。食事の準備についても、出前や仕出しを利用すれば遺族の負担は軽減されます。自宅葬は、派手な演出がなくても、その場所にある一つ一つの家具や傷跡が故人の人生を語ってくれます。気取らない、ありのままの姿で送る自宅葬は、近親者のみという選択肢の理想形と言えるかもしれません。ただし、準備の労力は斎場利用よりも大きくなるため、葬儀社と密に連携し、どこまで自分たちでやり、どこからをプロに任せるかを明確にすることが成功の秘訣です。