店頭でお客様から最も多く受ける相談の1つが、「葬儀にブラックパールは本当に失礼にならないか」という内容です。結論から申し上げますと、現在の日本の葬儀マナーにおいて、ブラックパールはホワイトパールと同等、あるいはそれ以上にふさわしい最高礼装のジュエリーとして確立されています。むしろ、近年では「ブラックフォーマルにはブラックパールを」という考え方が定着し、セットで購入される方が非常に増えています。特に都市部の葬儀では、参列者の半数近くがブラックパールやグレーパールを着用されている光景も珍しくありません。店員としてアドバイスさせていただく際、最も重視するのは「お客様の年齢と喪服との相性」です。20代から30代前半の方であれば、爽やかなホワイトパールのあこや真珠が若々しさを引き立てますが、40代を過ぎ、喪服の生地も上質なウールやカシミヤなどの「深い黒」に変わっていく世代には、ブラックパールの持つ重厚感が非常によく映えます。黒蝶真珠を選ぶ際のポイントは、色のトーンを合わせることです。真っ黒すぎると人工的な印象を与えることがありますが、わずかにグレーやグリーンが入った天然の黒蝶真珠は、肌のくすみを飛ばし、品よく見せてくれる効果があります。また、最近のトレンドとしては、あこや真珠を黒く染めた「黒染めパール」よりも、タヒチ産の天然黒蝶真珠を求められる方が圧倒的に多いです。天然の色合いが持つ複雑な輝きは、葬儀の強い照明の下でもギラつかず、しっとりとした落ち着きを演出してくれます。お客様の中には「慶事でも使いたい」とおっしゃる方も多いですが、ブラックパールは結婚式やパーティーでも、大人のエレガンスを表現するアイテムとして非常に人気があります。ただし、葬儀専用として一本持っておきたいという場合は、あまり大きな珠を選ばず、9ミリメートル前後の使い勝手の良いサイズをお勧めしています。ブラックパールを身に着けることで、葬儀という緊張感のある場でも、自信を持って立ち振る舞えるようになります。それは見栄ではなく、自分自身を整えるための礼儀なのです。私たち店員は、お客様が大切な方を見送るその瞬間に、最も寄り添える一本を提供できるよう、真珠の品質だけでなく、その背後にある物語も大切にしながらご提案させていただいております。
ジュエリーショップ店員が語る葬儀用パールのトレンドと黒の選択