近親者のみで葬儀を執り行う際、多くの遺族が検討するのが「香典の辞退」です。参列人数が少ないため、返礼品の手間を省きたい、あるいは参列者に金銭的な負担をかけたくないという思いやりからくる判断ですが、伝え方を間違えると、かえって相手を困惑させたり、不快にさせたりすることがあります。香典辞退の意思を伝える際の極意は、「明確かつ低姿勢」にあります。まず、案内状や訃報連絡の際に「故人の遺志により、ご香典、ご供花、ご供物の儀は固くご辞退申し上げます」と一文を添えます。ここで「お気遣いなく」といった曖昧な表現を使うと、「遠慮しているだけかもしれない」と深読みして持参してくる人が現れます。はっきりと「固くご辞退」と書くことが、相手の迷いを断ち切る優しさです。それでも当日、香典を持参された方がいた場合の対応も重要です。基本的には、一度は丁寧にお断りします。「お気持ちは大変嬉しいのですが、故人の遺言でどなた様からもいただかないことにしておりますので」と理由を添えて説明します。それでも「どうしても受け取ってほしい」と言われた場合は、頑なに拒み続けてその場の空気を悪くするよりは、「それでは、お気持ちだけありがたく頂戴いたします」と受け取るのが大人の対応です。その際、後日必ず「香典返し」を贈ることを忘れてはいけません。また、近親者のみの葬儀の場合、参列しない方から現金書留で香典が届くこともあります。この場合も、まずは電話でお礼を伝えつつ辞退の旨を伝えますが、既に届いてしまったものについては、受け取った上で、四十九日明けに香典の額に見合った(あるいは少し多めの)品物を贈り、感謝の気持ちを伝えるのが最も角の立たない方法です。最近では、香典を辞退する代わりに、その費用を慈善団体に寄付してもらうといった新しい試みをする方もいます。いずれにしても、香典辞退の目的は「形式を排して心で繋がること」にあります。その意図を正しく、そして謙虚に伝えることができれば、相手もあなたの選択を尊重し、心穏やかに故人を偲んでくれるはずです。